FX会社が不正をしているように思われている原因は、取引の仕組みの不透明さからくるものです。
例えば、スプレッドひとつをとってみても、ちょうどロスカットされるギリギリまでスプレッドが広がってきて損切りになった経験はありませんか?
まるでFX会社がワザと狙ってきたかのように…
「本当にFX会社が不正なことをしているの?」
と思うかもしれませんね。
そこでこの記事では、ストップ狩りからFX取引の仕組みまで詳しく解説しています。
最後まで読むと、何に気を付けてFX会社を選ぶべきか理解していただけます。
目次
「ストップ狩りされた」 「A社のスプレッドが異常」
そんな言葉をよく耳にしませんか?
FXで安心した利益を上げていくためにも、ストップ狩りやスプレッドの仕組みを知っておくことは非常に大切です。
ここではストップ狩りについて詳しく解説します。
ネットでは「ストップ狩り」とまとめられていることが多いのですが、実はストップ狩りには次の2つの意味が含まれています。
①ヘッジファンドによるもの
②FX会社によるもの
ストップ狩りといっても、ヘッジファンドによるものとFX会社によるものとでは意味合いが違ってきます。
片方は戦略で、もう片方は不正です。
①の場合、資金力があるヘッジファンドなどが利益を上げるためにとる手法の1つです。
本来ストップ狩りとはこのことを意味します。
一方②の場合、確証はありませんがネット上で存在すると言われている、FX会社が行うストップ狩りで、意図的にレートを操作することを意味します。
それでは、ストップ狩りとは具体的にどういうことなのか見ていきましょう。
まず、ヘッジファンドなどが行うストップ狩りについて説明します。
ストップ、つまりは損切りの注文(ストップロス)が集中している価格帯を狙って、大量の注文をだし、意図的に個人投資家たちの損切りを発生させます。 損切り注文を巻き込んで、大きな値動きを起こしたところで反対売買をし、利益を上げる手法です。
経験者ほど、損切り注文を置くポイントには明確な理由があります。
例えば、下図のように何度も支えられている(止められている)サポート・レジスタンスラインや直近の安高値などです。 これらの価格帯付近には損切りの注文が集中しています。
こういった価格帯に、ヘッジファンドは大量の注文(上記の例では売り注文)をだし、仕掛けてきます。
大量のストップロス注文が引っかかり、下げが加速したところで、売りを仕掛けたヘッジファンドは買い戻して利益を確定させる。
これが「ストップ狩り」と呼ばれるものです。
このような、ヘッジファンドによるストップ狩りは日常的に起こります。
では、FX会社によるストップ狩りとはいったいどういうものが考えられるのでしょうか?
FX会社は想定せずとも自社の顧客のストップロス注文が、リアルタイムで把握できていますよね。
この情報を利用して、ストップ注文が多く入っているレートに近づいたときに、FX会社がレートを不正に操作し利益をだしているのではないか?という疑念がよくささやかれています。 これが、FX会社のストップ狩りです。
FX会社によるストップ狩りは、FXの手数料である「スプレッド」を利用するケースが考えられます。
例えば、下図のように110円のレジスタンスラインで何度も止められている状況で、売りのポジションを持っていると仮定しましょう。 損切り注文は、節目の110円より少し上の110.050とします。
FX会社のA社チャートでは、このように110円のラインが抜けていません。 抜けていないので損切りにかからず、トレードが継続できて利益も見込めます。
しかし、もし仮にFX会社のB社のチャートでは、意図的に110円を少しだけ抜けたようにレートを操作していたらどうでしょうか?
B社を利用していたトレーダーは、損切りとなってしまいトレードを継続できなくなってしまいます。
その結果、多くのトレーダーが損をしますが、それに相反してFX会社が儲けているのではないかという疑いが持たれています。
ヘッジファンドによるストップ狩りは、明らかに存在します。 向こうもビジネスですから、最大限の利益・効果的な戦術をとるのは当然といえるでしょう。
一方で、FX会社によるストップ狩りは行われている証拠はありませんし、普通はそんなことは考えにくいと思います。 では、なぜそんな疑惑が残っているのでしょうか。
その疑惑を生み出す原因は二つあります。 日本国内のFX会社が採用している取引方式と、FXの手数料として知られているスプレッドです。
一体なぜ、その二つがFX会社の不透明さと関係しているのか、順番に見ていきたいと 思います。
一つ目は、国内の多くのFX会社が採用している取引方式です。
あまり知られてはいませんが、FXの取引方式はざっくりと次の2つに分けることができます。
【FXの取引方式】
■DD方式
FX会社が顧客とインターバンクの間に入る
■NDD方式
FX会社が顧客とインターバンクの間に入らない
国内のFX会社の多くが、顧客との取引に『DD方式』を採用しています。 一方で、海外は『NDD方式』が主流です。
最近では日本も海外にならって『NDD方式』を採用する業者も現れてきましたが、まだまだ『DD方式』が圧倒的に多いといえます。
この『DD方式』にこそ、その疑惑を生み出す原因があります。
では、この二つの方式にはいったいどういう違いがあるのでしょうか? 詳しく見ていきたいと思います。
DD方式とはDealing Deskの略で、FX会社がディーラーになり「投資家(顧客)とFX会社の取引」、「FX会社とインターバンクの取引」というように2段階に分けて取引をする方式です。
つまり、インターバンク直結ではなく、一度FX会社が投資家(顧客)からの注文を全て決済してしまいます。
FX会社が、どの注文をいつどのインターバンク(カバー先)に流すかはFX会社のディーラー次第なので、これもDD方式の不明瞭で分からない部分です。
『注文を通さない=注文を呑む』ともいいますが、FX会社が顧客の注文を呑んだ場合は、下記のような仕組みが成立します。
・投資家の利益=FX会社の損失
・投資家の損失=FX会社の利益
カンタンにいえば、インターバンクに注文を流さない場合、顧客とFX会社の利益は相反するということですね。
DD方式では、顧客が負けるほどFX会社が儲けることがあるので、あの手この手を使って負けさせようとしてくるのではないかと疑う原因になります。
こういった不透明さが、ストップ狩りの疑いの要因になっているのではないでしょうか。
また、インターバンク市場におけるスプレッドは常に変動していますが、DD方式を採用しているFX会社は、スプレッドも独自に設定したものを採用しています。
この方式だから低スプレッドを実現することができ、「原則固定スプレッド」が可能になっているというメリットはあります。
NDD方式 (No Dealing Desk)とは、FX会社がディーラーにならず、投資家(顧客)の注文が直接インターバンクにて決済される取引のことです。
DD方式とは違い、FX会社はポジションを保有せずに仲介をする仕組みになっています。
NDD業者は、カバー先の中から最も有利なレートをトレーダーに提示しますが、そのレートは加工されることなくインターバンク市場のレートに近いことから、透明性が高いといえます。 そのため、ストップ狩りやレートの操作などの不正が行われている可能性は低いでしょう。
こういった取引の流れから、ストップ狩りはNDD方式のFX会社にメリットになるとは考えにくいでしょう。
なぜなら、スプレッドがFX会社の主な収入源なので、顧客がドンドン取引してくれるほど会社の利益になるからです。 つまり、FX会社と顧客との間で「利益が相反しない」ので、顧客のトレード回数や枚数が重要になってきます。
そのため、トレーダが不利になるような不正行為をする可能性は低く、信頼性が高いと言えるのではないでしょうか。
2つの方式の違いについて、まとめてみましょうj。
NDD方式は、直接インターバンクで注文を決済する仕組みで、顧客との間で利益が相反することがないため透明性が高いと言えます。
一方のDD方式は、インターバンクに注文を流さない場合、顧客の損失がFX会社の利益になることが考えられます。 これが、FX会社にとって有利な操作が行われているのではないかと、嫌疑を招く原因になっています。
さらにFX会社の不透明さを助長する要因の「スプレッド」を見ていきましょう。
もう一つの原因である、スプレッドについてここで解説していきたいと思います。
国内のほとんどのFX会社は、「原則固定スプレッド」を採用しています。
原則固定スプレッドとは、基本的には固定のスプレッド幅を採用していますが、完全固定ではありません。
「原則固定スプレッド」と名乗るには、スプレッド提示率という指標が95%以上でないといけません。
流動性の低下や急な相場変動時には、スプレッドが広がります。
特に、重要な経済指標の発表時や各国要人の発言があったとき、また日本時間の早朝などは スプレッドが広がりやすいといえます。
実際に画面を見ると「原則固定」とはいえ、結構スプレッドが変わっていることが多いと感じませんか?
そこで、原則固定スプレッドの指標になってくる「スプレッド提示率」を見ていきましょう。
スプレッド提示率とは、画面上で提示されている売値と買値の差(スプレッド)が、原則固定のスプレッド値(標準スプレッド)で配信できた割合を示しています。
提示率が高いほどスプレッドは広がりにくく、安定してスプレッドを提供できていると考えられます。
スプレッド提示率が95%以上でなければ、「原則固定スプレッド」と名乗れませんが、 実は明確な定義が存在していません。 そのため、スプレッド提示率を自社の都合の良い集計方法で、基準を満たそうとするFX会社もあるようです。
スプレッド提示率の集計方法は主に2種類あります。
①価格提示回数の割合
②価格提示期間の時間の割合
例えば①の場合、標準(基準)スプレッドを高頻度で短い間隔で提示し、標準(基準)より拡大したスプレッドを低頻度で長時間で提示し、回数の割合で基準を満たそうとする事例があるようです。
また、②の一定の周期でスプレッド提示状況を確認する方式では、標準(基準)スプレッドを確認周期にあわせ提示し、それ以外の時間は基準より拡大したスプレッドを提示するという望ましくない例があります。
自社の都合の良い方法で、基準を満たしているようなFX会社があるのなら、スプレッドの変動具合が問題になってきますね。
さらには、スプレッド提示率(配信率)を公表する義務がないことから、公開していないFX会社が多くみられます。
FX会社の中でも「SBI FXトレード」は、全通貨ペアにおいて毎月「スプレッド提示率」を 公開しています。 さらに、『価格提示回数』だけでなく『時間割合』のスプレッド提示率も開示しています。 SBI FXトレードはお客様への安全・安心な取引環境を提供するために、積極的な情報開示を行っている透明性が高いFX会社のようです。
スプレッドに関しては、以下の二つのことがFX会社が不正をしているのではないかという嫌疑を招く要因になっています。
①スプレッド提示率という指標があるにも関わらず、公開しているFX会社が少ない。
②スプレッド提示率の明確な定義がなく、集計方法を公開していない。
こういった曖昧さが、疑惑を助長する原因になっています。
ここまで、FX会社が疑惑を持たれる原因をみてきました。
①DD方式でインターバンクに注文を流さない場合は、顧客の損失がFX会社の利益になることが考えられる
②スプレッドでは、指標である「スプレッド提示率」の明確な定義がなく、公開しているFX会社が少ない
この2つが疑惑を助長しているので、日本国内のFXはブラックボックスになっていると言われるのです。
かといって、DD方式で不正をしているとは限りませんし、NDD方式だからといって安心とはいえません。
FXは危険とはいえないけれども、心配な方は透明性が高いFX会社、NDD方式を採用しているFX会社を選びましょう。
ヒロセ通商は国内で数少ないNDD方式を採用しており、約定スピードも世界最速水準でシステムの性能にもこだわっています。
また、スプレッド提示率も公表しています。
ヒロセ通商の子会社で、同じく約定スピードが世界最速水準で、「スキャルピングOK」と公言しているFX会社です。
スプレッド提示率も公表しています。
顧客へは適正性・透明性のある取引環境を提供する義務があると考えているSBI FXトレードは、スプレッド提示率だけでなく、スリッページ発生率も数値まで公表しています。
また、「ストップ狩りは一切ない」と宣言している、透明性・信頼性の高いFX会社です。
水落 あきみね
1977年兵庫県生まれ。2000年大学卒業後にIT会社に入社。12年間勤めた会社を退職して、自営業を始める傍らFXを始める。相場の世界に入って6年になる兼業トレーダーで、水平線やトレンドラインだけを使ったシンプルなトレードを得意としている。信条は「最もうまく負けることができる人が勝つ」
Blog
研究所でオススメの記事