近年、FXの自動売買が人気を呼んでいます。
FXの自動売買は、自動売買を行うコンピューターソフトにトレードを任せるものですが、自動売買ソフトの性能が著しく向上し、種類も増えたことが要因のひとつです。
また、仕事や家事で忙しくFXにあまり時間を割くことができない方、あるいは、まだ裁量トレードに自信がない初心者の方などの利用者が増えていることも人気の理由です。
今回の記事では、FXの自動売買のメリット・デメリットから始め方まで一つ一つ丁寧に解説しています。
最後まで読むと、自動売買が自分に向いているのか、そしてどのように始めればよいかが分かります。
目次
自動売買は、FXで自動売買用のコンピューターソフトに売買をすべて任せてしまう方式をいいます。
ユーザーは、自分が気に入った自動売買ソフトを選び、稼働させ、また停止させることにより、FX取引での収益化を目指します。
自動売買は、以下のように大きく2つの系統に分けることができます。
選択型自動売買は特別なソフトをインストールする必要がなく、サービスを提供しているFX会社に口座を開き、自動売買サービスを利用する方式です。
選択型という名称は、サービスを提供しているFX会社が用意した自動売買ソフトの中から、自分が気に入ったものを選択し利用するところから付けられています。
中でも、ミラートレーダーという取引ツールを使うものが有名で広く普及しています。
選択型自動売買は、このサービスを提供するFX会社に口座を開くだけで始めることができるため、初心者に大変適した方式といえます。
ソフト型自動売買は、ユーザーがパソコンに取引ツールや自動売買ソフトをインストールして稼働させる形式の自動売買です。
インストールする取引ツールで最も有名で広く普及しているのがMT4(メタトレーダー4)です。また、自動売買ソフトは自分で開発・作成したもの、または、有償・無償で配布されているものを手に入れる必要があります。
ソフト型自動売買は、ソフトのインストールや設定などの手順が必要なことから、選択型自動売買に比べると初心者には少し難しい面があります。
自動売買には、次のようなメリットがあります。
自動売買は、コンピューターソフトが売買・決済・損切りなどを行ってくれるため、はじめの設定を行うだけで後は手数がかかりません。仕事や家事に忙しい方、トレードに長時間拘束されたくない方には非常に便利です。
FXの初心者は、裁量トレードの技術が未熟でなかなか稼ぐことができません。しかし、自動売買では、コンピューターソフトに組み込まれたロジックにより取引が行われるため、トレード技術が未熟な初心者でも勝つことができます。
人間が行う裁量トレードは、感情の起伏の影響を大きく受けてしまいます。
一方、自動売買では、どのような時でも組み込まれたロジックに基づく論理的なトレードができるため、感情に振り回されることがありません。
自動売買では、複数のソフトを同時に稼働しておくことができます。
このため、短期的に利益を上げるのが得意なソフトとじっくりと長い期間をかけて大きな利益を狙うソフトを組み合わせるなど、タイプの異なるソフトを稼働させ、多様な相場環境に対応していくことでリスクの分散を図ることができます。
一方で、自動売買には、次のようなデメリットもあります。
多くの自動売買ソフトは、平常時の為替変動を想定して作られています。
最近の自動売買ソフトは大変進化しており、テロや災害、政治・経済的な重要イベントなどによる為替の急激な変動にもうまく対応して利益を上げているものもあります。
しかし、このような局面でうまく対応できないソフトがあるのも事実です。
テロや災害は予知することができませんが、政治・経済的な重要イベントは事前に把握することができます。
したがって、そのような政治・経済的な重要イベントの前には、ポジションを決済し、ソフトの稼働を止めておくのが無難でしょう。
一般的に、FX会社の自動売買のスプレッドは、人間が行う裁量トレードの場合より広めに設定されています。
FX会社が自動売買サービスを提供するためには、自動売買の環境を構築して維持管理していかなければならず、それなりのコストがかかるためです。
ここでは、選択型自動売買の代表的なものとして、ミラートレーダーの始め方を紹介します。
ミラートレーダーは、自動売買の取引プラットフォームです。
取引プラットフォームとは、自動売買の取引を行うための環境を提供し、自動売買ソフトの選択や稼働・停止を行うことができるツールです。
ミラートレーダーは、特別なソフトをダウンロード・インストールする必要がなく、サービスを提供しているFX会社に口座を開くだけで利用できます。
画面操作は非常にわかりやすく、自動売買の初心者に向いているといえるでしょう。
ミラートレーダーを始めるには、そのサービスを提供しているFX会社に口座を開く必要があります。
現在、国内でミラートレーダーのサービスを提供しているおすすめのFX会社を紹介します。
FX会社名 | サービス名 |
---|---|
インヴァスト証券 | シストレ24 |
セントラル短資FX | セントラルミラートレーダー |
ここではインヴァスト証券のシストレ24を例にあげて説明します。
インヴァスト証券のシストレ24に口座を開き、ミラートレーダーにログインすると次のような画面が現れます。
これが、ミラートレーダーの取引プラットフォームですが、ここでは次のようなことができます。
①ストラテジー(自動売買ソフト)の検索
ストラテジーの検索は、取引期間や損益などの項目で条件検索が可能です。
②気に入ったストラテジーを詳しく調べる
検索したストラテジーの中で自分が気に入ったものについて、詳しいデータを見ることができます。
③選択したストラテジーを自分のポートフォリオに組み入れる
④ストラテジーを稼働・停止させる
ミラートレーダーでは、トレードに勝つことができる優秀なストラテジーを探し当てることが重要です。
そして、見つけ出したストラテジーは、いくつでも自分のポートフォリオに入れて、自分が好きな時に稼働させることができます。
これは、一見スポーツの試合に似ています。自分が優秀だと判断して選び出したストラテジーが複数ある場合には、それら個々のストラテジーは選抜選手と同じであり、合同で1つのチームとなってFXの試合に臨むことになるのです。
ユーザーは、個々のストラテジーの様子を見ながら稼働・停止を命じたり、調子がよくないストラテジーを優秀な別のストラテジーと交代させたりができる、いわば監督の立場となります。
それは、野球やサッカー、あるいは柔・剣道団体戦の監督と同じく、トータル利益を目指して指令し、采配を振ることになります。
したがって、ミラートレーダーで勝つためには、いかに優秀なストラテジーを集めるかが勝敗の分かれ目です。
それでは、FXの実戦で勝てる優秀なストラテジーはどのようにして選び出したらよいのでしょうか。
ミラートレーダーのストラテジー検索で、個別に一つ一つ過去の成績データを調べてもよいですが、ストラテジーの総数が多いためそれでは時間がかかり過ぎてしまいます。 ここでは、ストラテジーの選別をより効率的に行うため、エクセルを利用する方法を紹介します。
ミラートレーダーには、各ストラテジーが持つ過去の成績データをエクセルにエキスポートする機能があります。
この機能を使って、できるだけ多くのストラテジーデータをエクセルシートに出力します。
できるだけ多く出力するには、ミラートレーダーのストラテジー検索に条件検索機能がありますが、その条件に「すべて」と入力します。
そうして、エクセルシートに出力した一覧が次のものです。
出力されたデータは、システム名称以下、取引開始日・取引回数・損益・勝率・プロフィットファクター(総利益÷総損失)・最大ドローダウンなどからなっています。
それらのデータについて、例えば、取引回数が多い順にソートして一定回数以上のものを残して他は削除し、次にプロフィットファクターが大きい順にソートして一定数値以上のものを残して他は削除、さらに勝率順にソートして……というやり方で次第に絞っていき、優秀なストラテジーを数本残して、それを自分のポートフォリオに入れ実戦で試してみるという方法が効率的です。
次に、ソフト型自動売買の代表的なものとしてMT4による自動売買の始め方を紹介します。
MT4自動売買は、非常に熱心なファンが多く人気のあるジャンルです。 このようにMT4自動売買が人気であるのは、次のような理由によります。
MT4は、自動売買のみならず、裁量トレードにも広く利用される取引ツールです。
その画面は、チャート機能とトレードパネル(取引画面)機能を併せ持っています。
また、50種類以上のインジケーターが標準装備されており、チャート上好きなだけ表示することができます。
MT4は、チャート表示方法に工夫を加えることにより、自分で見やすく使いやすい画面にカスタマイズすることができます。
MT4は、有償・無償で配布されているEA以外に、ユーザー自ら開発・製作したEAを取り込んで稼働させることができます。
MT4では、過去の相場データを利用して、自動売買ソフト(EA)のバックテストを行うことができます。
以上のように、MT4の自動売買は大変拡張性に富んでいることが特徴です。
MT4自動売買を始めるには、MT4トレードに対応しているFX会社に口座を開く必要があります。
現在、国内でMT4に対応しているFX会社を紹介します。
FX会社名 | サービス名 |
---|---|
FXTF | FXTF MT4 |
OANDA Japan | OANDA JAPAN MT4 |
FOREX.com | FOREX.com MT4 |
楽天証券 | 楽天MT4 |
外為ファイネスト | MT4 ZERO |
ここでは、MT4自動売買に対応している国内業者のFXTFのMT4売買を例にあげて説明します。
FXTFにMT4口座を開いてMT4をダウンロードし、稼働させると次のような画面が現れます。
これがMT4の取引プラットフォームで、自動売買ソフトであるEAをこの上で稼働させることになります。
具体的には、MT4システムの「Expertsフォルダー」という場所にEAを格納して使うことになります。
EAはネット上にあるマーケットで無数に販売されています。また、中には無料で提供されているものもあります。
初心者のうちは、EAを自分で開発するのは難しいため、これら配布されているEAを利用するのが適切です。
また、優秀なEAの選び方については、着眼点はミラートレーダーの場合と似ています。
販売・配布されているEAは、過去の相場データを使って検証・テストを行っているため、この検証結果を選別の材料にします。
過去の実戦成績も、EAの選別材料に使います。
■損益グラフ
損益グラフが直近で伸びているEAは、トレード手法やその仕様が最新の経済・相場状況に適合していると判断できます。
■プロフィットファクター
プロフィットファクター(利益合計÷損失合計)が1以上で、より高ければそれだけ勝っているEAと判断できます。
その他、平均利益と平均損失の比率や最大ドローダウンなどのデータを判断材料にします。
FXの自動売買は、はじめの口座開設や自動売買ソフトの選定を行ってしまえば、後はチャート画面に拘束されることなくお任せでFXトレードができる方法です。
日頃の仕事が忙しい、家事や育児が大変で時間がないなど、FXに十分な時間を割くことができない方には非常に歓迎される手法といえましょう。
また、FX取引を始めたばかりで、まだ自分の裁量トレードに自信がない初心者の方は、優秀な自動売買ソフトに売買を任せた方が成績アップに繋がる可能性が高いともいえます。
さらに、FXトレードはやってみたいが難しい勉強は勘弁してほしい方、自動売買のロジックに興味を持っている方などにも、トレードのほとんどをコンピューターソフトにお任せできるFX自動売買は最適な手段ということができます。
このような視点でみると、FX自動売買は、多様化した様々なニーズを持ちながらも時間的に忙しく、投資の世界に合理性・効率性を求める現代人のニーズに非常にマッチした手法といえるでしょう。
今回は、FX自動売買の入門編として、自動売買手法の初歩的な段階を紹介したに過ぎませんが、これを契機にFX自動売買の世界に関心を抱いていただければ幸いです。
最後に、FXの自動売買に向いている人をまとめてみました。
FXの自動売買に向いている人
三原怜
私は、以前地方自治体に勤めていましたが、退職してFXトレーダーに転向しました。トレード歴は、通算で約10年間になります。 トレーダーになった動機は、相場が人間心理の凝縮された生き物のように思え、その神秘的なベールを、テクニカル分析などの手法で読み解いていく面白さを知ったからです。 みなさんも自分なりの角度から、ぜひ相場に挑戦してみてください。
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