多くのトレーダーから注目を集めている自動売買ですが、安全で本当に儲かるのかなど不安に思う人もいると思います。
ライブスター証券のサイトには、「iサイクル2取引」では【裁量トレードの3.5倍の利益】が出ていると記載されています。(ライブスター証券が行った検証結果)
この記事では、「iサイクル2取引」で実際にデモトレードの限られた期間で、どれくらい利益がでるのか検証してみました。
そして、今回「FXやってみた研究所」でのデモトレードの成績は以下のようになりました。
検証期間:25日間(6/24~7/18)
損益:―7万445円(3,000,000円→2,929,555円)
なぜこの検証で、マイナスという結果になったか詳しく解説していきます。
まず、iサイクル2取引に『向いている人・向いていない人』を紹介します。
iサイクル2取引に向いている人
iサイクル2取引に向いていない人
目次
はじめに、ライブスター証券の会社情報とiサイクル2取引の特徴をみていきましょう。
ライブスター証券は、東京都千代田区に本社があるFX会社です。
会社名 | 株式会社ライブスター証券 |
---|---|
所在地 | 東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス丸の内17階 |
設立時期 | 1948年(昭和23)年4月 |
資本金 | 21億円 |
FXは、相場の将来的な値動きを予測してその方向にポジションを建て、利益を上げようとする投資法です。
しかし、相場の将来予測はプロのトレーダーでも難しく、また、相場が理屈どおりに動かないことも頻繁に起こります。
そのような中で、毎回売買の方向やタイミングを判断していくことは効率が良いとはいえず、非常にエネルギーを消耗する作業となります。
それに対し、iサイクル2取引は、あらかじめ一定の価格帯に規則的な注文を仕掛けておく手法です。
すなわちiサイクル2取引は、仕掛けられた注文により、相場の値動きに合わせてポジションを連続して建てていく自動売買の方式なのです。
あらかじめ仕掛けられた売買注文には、利益確定の注文もセットで付いています。
したがって、相場が事前に設定された一定の値幅分動けば、利益確定の決済がされます。
相場が予想とは逆に動くと、元のポジションを持ったまま、新しいポジションを追加していきます(最大ポジション数まで)。
この場合、ポジションを建てる間隔は、利益確定の幅と同じです。
上図のように、相場が予想とは逆に動いたところでは、新たなポジションを追加して数を増やしておき、やがて相場が元に戻ると次々に利益確定を行います。
iサイクル2取引では、この手法が自動的に繰り返されていく仕組みになっています。
このような繰り返しの自動売買手法をリピート系自動売買と呼びます。
iサイクル2取引をはじめとするリピート系自動売買では、相場が予想どおりに動けば利益確定し、また、予想外の逆に動けばその間にポジションを増やしておき、相場が元の方向に戻った時に連続して利益確定を行う仕組みになっています。
したがって、リピート系自動売買は、特に相場が一定の範囲内で往復運動するレンジ相場で威力を発揮できるといえるでしょう。
次に、iサイクル2取引のデモ口座を開設して、デモトレードを始める手順について説明します。
ライブスター証券の公式サイトから、「FXデモ口座」をクリックします。
次の画面で、「無料デモ口座お申し込み」をクリックします。
デモ口座申込み画面に、氏名および連絡先メールアドレスを入力し、「確認画面へ」をクリックします。
デモ口座申込み確認画面の内容を確かめ、「登録」をクリックします。
しばらくすると、ライブスター証券から、デモ取引画面へのリンク、および取引口座へのログインID・パスワードが記載された「デモ取引口座開設完了のお知らせ」が届きます。
メール内のリンクからデモ取引ログイン画面を表示し、ログインID・パスワードを入力しログインします。
ウェブの取引画面は、上のようなイメージです。
ライブスターFXでは、ダウンロード版の取引ツールが用意されています。
上の画面からダウンロードを行うようですが、筆者が試してもダウンロードができませんでした(筆者のパソコン固有の問題かもしれません)。
仕方がないので、ウェブ版で検証を行うことにしました。
それでは、実際にiサイクル2取引でデモ取引を実践してみましょう。
9月2日時点のドル円日足チャートをみると、以下のようになっています。
【ドル円日足】
相場は下降トレンドが続いているようです。したがって、売買の方向は「売り」とします。
【ランキング方式】
ライブスター証券iサイクル2では、デモ環境において一定期間運用した結果をランキングした売買パターンの中から好きなものを選べる仕様になっています。
ランキング表の中から選んだパターンは、次のとおりです。
①通貨ペア ドル円
②注文量 1ロット(10,000通貨)
③売買の方向 売り
③ポジションの間隔 20pips
ポジションを建てる間隔=利益確定幅
④最大ポジション数 25
最大ポジション数は、同時に建てることができるポジションの最大数
⑤想定変動幅 500pips
想定変動幅は、相場が往復運動すると予想する範囲
ポジションを建てる間隔20pips×最大ポジション数25で求めることができる
2週間後の状況は、次のとおりです。
口座状況をみると、3,001万5,853円となっています。3,000万円でスタートしているので、1万5,853円分の利益が確定されたことになります。
しかし、未確定の含み損が11万3,362円(スワップ分含む)生じています。
これは、序盤戦で少し利益確定できたものの、その後は相場の方向が変わり保有ポジションの含み損が増えてしまったに違いありません。
現在の注文パターンは、ドル円の売りです。
検証期間中の相場チャートをみてみましょう。
【ドル円6時間足】
【ドル円日足】
検証期間は緑枠で囲った部分です。
ドル円相場は、横ばい後に上昇に転じ、現在も上がり続けているようです。
このため、11の売りポジションが含み損を抱えてしまっています。
もうしばらくポジションを持ち続けてみます。
さらに10日後の状況です。
現在の注文パターンは、前と同じくドル円の売りです。
含み損は、10万6,489円(スワップ含む)と若干圧縮されました。
【ドル円4時間足】
【ドル円日足】
検証期間中(緑枠内)のドル円相場は、少し下降気味になっているようです。
ドル円相場は、日足レベルでみると、まだ下降局面が続いているようです。
大きな波は下降相場でも、小さな戻しの波が発生すると、今回のようにトレンド方向に沿った売りポジションを持っていても含み損が発生してしまいます。
今回の短い検証期間(通算で9.2~9.26)では相場が元の下降局面に戻らず、売りポジションが含み損を抱えたままとなりましたが、より長い期間(2~3ケ月間など)ではやがて下降相場に戻り、含み損が含み益に転じる可能性があります。
したがって、中・長期売買を行う場合には、このまま売りのスタンスで続けるのが正解でしょうが、短期売買で利益を上げようとする場合は、小さな戻しの波が発生したら一旦ポジションを解消してしまう(両建てでも可)のがよいでしょう。
また、トレンドの判断は、使用するテクニカル指標や適用する時間足でも異なってきます。
今回の検証では使いませんでしたが、ライブスター証券iサイクル2取引では、売買の方向をその時々のトレンドを判定して切り替える機能がついています。
そのトレンド判定機能を使って、ある検証を行ってみましょう。
例えば、ユーロドルの日足相場は、次のようになっています。
【ユーロドル日足】
日足のユーロドル相場は、明らかに下降トレンドの最中です。
これをiサイクル2取引のトレンド判定機能が、どのように判定するかの検証です。
まず、トレンド判断テクニカルとして、SMA(単純移動平均線600と900)の2本を4時間足に適用すると、売りトレンド(下降トレンド)と判定されました(SMAを使う場合は、4時間足より短い足はありません)。
【ユーロドル4時間足】
ユーロドルの4時間足チャートに2本のSMAを表示すると、2本ともに下降が続いているので、下降トレンドと判定された模様です。
今度は、違うテクニカル指標と時間足を使ってみましょう。
トレンド判断テクニカルとして、MACDを1時間足に適用してみると、買いトレンド(上昇トレンド)と逆の判定が出ました。
【ユーロドル1時間足 】
1時間足では、MACDがシグナルラインを下から上に突き抜けていることから、買いサインと判定した模様です。
以上のように、トレンドの判断は、使用するテクニカル指標や適用する時間足で異なってきます。相場には、中・長期的には「売り」サインであっても、短期的には「買い」サインの場面が必ず現れるのです。
このことからも、iサイクル2で効率良く勝っていくには、次のことを念頭に置くと良いかもしれません。
①相場の状況に応じてトレンド判定機能を活用する
今回のドル円相場は、明らかな下降トレンドだったため不使用でした。
②中・長期売買の場合はSMA、短期売買の場合はMACDを基本にして判定を行うと有利
適用できる時間足がSMAは4時間以上、MACDは1時間以上であるため、MACDの方が反応は早く現れます。
③中・長期売買でSMAを使う場合も、相場の押しや戻しの場面では、一旦ポジションを解消し、注文を停止しておくと含み損が大きくならない
相場が逆に動くと、最大ポジション数まで規則的にポジションを建ててしまうため、含み損が大きくなってしまいます。
なお、ポジションを解消しても注文を停止しないと、新たなポジションが建ってしまうので注意が必要です。
話を元に戻し、ドル円のポジションはすべて決済、注文も取り消して検証を終了します。
最終的に、口座資産は2,992万9,555円となり、▲7万445円のマイナス収益となりました。
ライブスター証券のiサイクル2取引について、デモトレードで実践してみた結果をまとめてみましょう。
評価項目 | 評価(★5つで満点) | 備考 |
---|---|---|
プログラム ロジックの わかりやすさ | ★★★ | プログラムロジックの説明は、わかりやすい。 |
画面の見やすさ わかりやすさ | ★★★ | 画面は、見やすくわかりやすい。 ただし、ダウンロード版が落とせなかった。 |
操作性 レスポンス | ★★★★ | 操作性は良く、レスポンスも良好である。 |
勝てる手法か | ★★★★ | レンジ相場では、勝てる確率が高い。 トレンド相場では、ポジションの方向次第で勝敗が分かれやすいが、トレンド判定機能を上手に使えば有利なトレードを行える可能性がある。 |
コスト | ★★ | スプレッド、取引手数料ともに負担感あり。 |
総合評価 | ★★★ |
【プログラムロジックのわかりやすさ】
プログラムロジックや仕組みの解説は、比較的単純でわかりやすいといえます。
【画面の見やすさ・わかりやすさ】
ダウンロード版が落とせなかったのでウェブ版での評価になりますが、トレード画面やチャートは総じて見やすく、わかりやすいといえます。
取引分析の機能があれば、より便利でしょう(ダウンロード版にあるかもしれません)。
【操作性・レスポンス】
ログイン後のトレード画面については、操作性やレスポンスは問題なく、普通に使うことができました。
【勝てる手法か】
リピート系の自動売買システムは、価格が一定の範囲を往復するレンジ相場の場合は、ロジック上有利なトレードが見込めるでしょう。
一方、トレンド相場の場合は、トレンド方向に合致するプログラムを選択することが勝ちに繋がります。
ライブスター証券のiサイクル2取引は、システムがトレンドを自動判定して売買方向を決めてくれるトレンド判定機能を備えているため、この機能を上手に使うことで優位性を発揮できるのではないでしょうか。
【コスト】
トレードコストとしては、スプレッドと取引手数料がかかります。
また、主な通貨ペアのスプレッドは、以下のとおりです。
通貨ペア | スプレッド |
---|---|
米ドル/円 | 0.9 pips |
ユーロ/円 | 1.9 pips |
ポンド/円 | 3.4 pips |
豪ドル/円 | 3.2 pips |
ユーロ/米ドル | 1.4 pips |
iサイクル取引の1ロット(1万通貨)あたりの手数料は、 1取引ごとに往復で400円(新規200円・決済200円)かかります。
0.9銭×1万通貨+往復手数料400円=490円
スプレッドは、他社と比較して広い(高い)傾向にあります。
その上、取引手数料が10,000通貨の往復で1回あたり400円かかるのは、負担が大きいでしょう。
コスト面では、負担感があります。
【総合評価】
iサイクル2取引は、外為オンラインでもサービス提供しています。
iサイクル2取引のプログラムロジックやトレンド自動判定機能などについては、ライブスター証券と外為オンラインで大きな違いはないようです。
また、取引手数料が1万通貨の往復取引で400円かかる点は同じです。
ライブスター証券のiサイクル2取引はプログラムロジックがわかりやすく、また、取引画面、操作性、レスポンスなどについても使いやすく問題はありません。
コスト的に若干負担感がありますが、トレンド自動判定機能を上手に活用してそれに勝る利益を上げていける可能性があるため、大きなデメリットにはならないといえるでしょう。
ライブスター証券のiサイクル2取引についてご理解いただけたでしょうか。
今回、「FXやってみた研究所」でのデモトレードの成績は以下のようになりました。
検証期間:25日間(6/24~7/18)
損益:―7万445円(3,000,000円→2,929,555円)
期間が限られていた中で、マイナス70,445円の結果となりました。
それでは再度、ライブスター証券の「iサイクル2取引」に『向いている人・向いていない人』を見てみましょう。
iサイクル2取引に向いている人
iサイクル2取引に向いていない人
三原怜
私は、以前地方自治体に勤めていましたが、退職してFXトレーダーに転向しました。トレード歴は、通算で約10年間になります。 トレーダーになった動機は、相場が人間心理の凝縮された生き物のように思え、その神秘的なベールを、テクニカル分析などの手法で読み解いていく面白さを知ったからです。 みなさんも自分なりの角度から、ぜひ相場に挑戦してみてください。
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